究極の選択

治療法
 手術後の治療については、抗がん剤をするのか、免疫治療をするのかの選択となりました。キーワードは治癒。とにかく治ってほしい、治したい。その一念で免疫治療を選びました。当時、胃がんに有効な抗がん剤はなく、延命できればよいというものでした。それもどれほどの効果があるかはわからない上に、正常細胞をも弱らせてしまうので、がんを喜ばせるだけになる可能性もありました。結果論からいくとそれでも抗がん剤を使ったほうがせめて3ヶ月でも長く生きれたような気はしますが、後悔はしていません。
 免疫治療については正直、絶大な効果があがっているわけではありません。丸山ワクチンが認可されないように治療法としては疑問視される向きもあるようです。しかし、それは客観的な事実、「医学」上の問題で、がんになった患者、家族にとっては、たとえ万に一人でもその治療のおかげで治った人がいれば、試してみたいし、その可能性にかけてみたいと思うのです。そのことをわかってほしいと思います。
 免疫治療がすべてだとは思いません。化学治療、レーザー治療その他効果的な治療法がどんどん出てくるでしょう。事実、この2年間でもスキルスに有効らしい治療法をいくつか耳にします。もう少し生きていてくれたら試せたのにとどれほど思うことか。しかし、どれも有効ではないとされたときに、免疫治療は最後の砦でした。健康食品のようなやみくもなことではなく、科学的な根拠に基づいたちりょうであり、納得して受けることができるものです。ほとんど効果がないからと切り捨てずに様々な治療法を試す気持ちを医師は持っていてほしいと思います。
 人間が持つ自然治癒力は最近見直される傾向にあるようです。薬を使うより、もしそれが有効なら自分で治すのがいい。自然治癒力を助ける治療があるなら、それに越したことはないと思うのです。